【バリアフリー住宅】身体状況に合わせて変化できる家

 

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【Mさまご一家】ご主人、奥さま

【設計・デザイン】 白石 充   【営業担当】 白石 充

【所在地】 千葉県野田市

【完成引き渡し年月日】平成27年8月

【インタビュアー】白石

ご主人=、奥さま=  インタビュアー 白石=

 

■バリアフリーになっているか、いないかって、生活に極端に差が出ますね。

:家づくりのきっかけを教えてください。

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:まぁ、家内のALS病の発病です。それが全て。

 

:それで家を造って1年。

 

:ちょうど1年ですよ。
8 月8日に引っ越してちょうど1年。
:もう1年経つんですね。

 

:お陰様でね。元気でいられるから。寿命が伸びたような気がします。

 

:思い切って家を建てて移ったんで、変な話、症状もあまり進行しないですんだのでしょうね。
それは確かだよね。

 

:この前、向こうの家(旧宅)に行ったら、やっぱり疲れちゃってね。

 

:そうですか。

 

:あの階段を昇ったり下りたり、厳しいね。

 

:2階の階段を上がったり、玄関の階段を昇ったり下りたりしたら、すごいくたびれて。
やっぱりフラットで歩くということの重要性を感じました。
あと、一週間くらい旅行に行っていたんですけど、関西に。
それでいろいろなホテルに泊まったのですけれど、お風呂やトイレに段差があるんですよね。
自宅で段差のない便利なトイレを経験しているから、やっぱり足が腫れてね。

 

:そう。

 

:腫れちゃったんですか?

 

:腫れるんですよ。 最後の焼津のホテルは、いいホテルだったから、車いすでもいいような段差のないお風呂とかでトイレでね。

 

:そういう所があるんですか?

 

:あるんです。車いすで温泉の入口まで行くのですけど、降りて杖を持って入って行っちゃうんです、私。
中のタイルで滑ったり転んだりすると困るから。
誰も杖ついて入っていないんですけど、杖をついて入って行って、湯船に入る時は、ちょっと横に置いて入るんですけど。
温泉が良くて、朝晩入ってきたんですけど、やっぱり発作とかなくてね。
何かしら神経への効用があるのかなと。

 

:やっぱり温泉に入るっていうことは、いいこと何ですかね。

 

:そうみたいですね。

 

:いいんですね、すごく。
一週間くらいお家を空けていたんですけど。
健康で、別にタクシーを使うこともなく帰ってきたんですけど。
だからやっぱり、お家を建てたことは良かったです。

 

:良かった。

 

:ね。

 

:そう、それはね。まぁ思い切ってね。
やっぱり、バリアフリーとバリアフリーでないとの差っていうのは、本当に生活に極端に差がありますよね。
そういう具合の悪い家族にとってはね。
前の家はバリアフリーじゃないから、やっぱりあそこで1時間でも半日でもいると、疲労が重なりますものね。

 

:結構小さな疲労だけどね。

 

:うん。

 

:積もり積もると大きな疲労になっちゃうから。
やっぱりこっちに変わって良かったなと思う。一年経っての実感ですね、本当に。

 

:それは大きかったね。

 

:何かね、介護施設に入るのも一つの方法でしょうけど、自分のお家でバリアフリーのところで快適に過ごすっていうのは、すごくいいことじゃないかと思います。
まだわからないですけど、これからはね。
でも、その期間が長ければ長いほど、やっぱり幸せじゃないかなと思いますね。
だから、とってもいい。
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:そう。

 

:そして、なぜか孫が来ても、台所ですごくお手伝いするんです。
(シンクが)広くて浅いから。来るといつも洗い物をやってくれて。
時々叱られるんですけど、泡をいっぱい出して。

 

:自分の家ではやらないみたいだけどね。

 

 

■自分の足で歩きたいと思うと素足でいたいんです

2016-10-22-5:自分ができることって、温度差がないようにしようとか。
まぁ、水まわりはどうしようかはお話はさせていただきましたし、ショールームにも行ってお打ち合わせもしていただきましたけど、特別なことをしているわけではないじゃないですか。
健康なおじいちゃんおばあちゃんが住んでいてもいいような家で、「住んでいたら快適ですよ」っていう家だと思うんですけど、やっぱり温度差がないことは、影響があるんですか?

 

:温度差って、室温って意味ですか?

 

2016-10-22-3:はい。

 

:それは大きいですよね。

 

:やっぱり、奥様の状態にも随分違うんですか?

 

:娘が来て良く言いますよ。この家は涼しいし。ここの家は暖かいって。
自分のお家は冷たいとかいうね。歩いてても冷たいし。

 

:まぁ、素材選びの問題もあると思うんだけどね。

 

:でも、よく言うよ。ここは涼しい。ここは暖かいって。

 

:それはあるよね。

 

:床とかは、車いすでもキャスターがついているものでも大丈夫なように、表面は固いけど特に無垢ではないですよね。
当社では、新築の時には無垢にしていることが多いんです。
フローリングって、触った感じが冷たいじゃないですか。
皆さん、冬場の寒いのは嫌だけど、床暖房までは必要ないって思われる方が多いんですけど、この家は床に空いている穴から、部屋の中の暖かい空気が床下にいくので、床下が寒くないからヒヤッとしない。

 

:だと思う、それが随分違いますよね、それは。
冬場の床の冷たさが、この住宅はないですよね。それがやっぱり大きいよね。

 

:それとね、足が悪くなると、靴下に転ばないのがついているのを履いていても、すごく重心をかけにくいんですよ。
自分の身体を維持しようと思うと、足に力がいくんですね、5本の指に。
そうすると靴下とかスリッパを履いているとすごく不安なの。
だから素足でいたいと言うのがすごくあるんですね。
やっぱり自分の足でしっかりと歩きたいと思うと。
私いつも思うんです。冷えることは冷えるんですよ、足が。冷房かけているから。
だけど、靴下履くと滑りそうで、滑り止めのついている靴下を買ってきても、なんか不安なんですよ。
車いすの人は関係ないかもしれないけど、それは、杖ついていても、ついていなくても足の不自由な人って、そういうの絶対あると思いますよ。
本当は、自分の素足で歩くのが一番安心なんですよね。
見ていると5本の指でしっかりカニのように支えて歩いているから、それでちょっと負担がきてむくんでくるのもあるんですね。

 

 

 

■日常生活ができる環境をつくっておくことは、すごい大事ですよね。

:社長が良く言う話じゃないけど、やれる範囲内でやらせたあげたいっていうことは大事ですよね。
進行性の病気になっている人は、どんどん悪化していくわけだけど、その過程でどこまで日常生活をやれるかっていうのを、やらせてあげられる環境がつくれるっていうことが、すごく大事なことじゃないですかね。
そうすることによって、ご家族もそうでしょうけど、本人もできることはやっていこうという気持ちを培っていけると思うんですよね。
だから、もう先に答えを見つけて、だめなんだからもうやらなくていいっていうことになるのは、一番本人にとってはつらいんじゃないですかね。
だから、なるべく日常生活ができる環境をつくっておくということは、すごい大事ですよね。
結果的には、その病気の進行度合いがゆっくりになるというか、遅くなるというか。
そういうことに繋がっていくんだと思うんですよね。

 

cimg8249:特に筋肉の病気は。

 

:そうそう。

 

:じっとしていると衰えてくるんですって。
ちょっとでも動かさないと筋肉がつかないから。
だから、もう多少動いて休む、動いて休むが一番大切なんですって。
でも、それがオーバーヒートするとむくんだり、疲れたり。

 

:そう、その兼ね合いが難しいんですよね。

 

:兼ね合いがね。

 

:筋肉と言うのは、使って初めて力が維持できるわけで。
もう無理だから使わないってことになると、劣化するだけになっちゃうんですよね。

 

:以前も言われていましたよね。
あんまり無理させちゃうと、やっぱり疲れちゃうけどって。
その兼ね合いをうまく調整しなくちゃって言うけど、でもそういうことができていて、本当に素晴らしいなぁと思うんですよね。

 

:だから、自分の病気をどこまでできるかを良く考えながら動くっていうのが大事なのかもね。
私はちょっとずつ足が弱くなってきて、特に右足が悪いんですよ。
左の方が力があって。うれしいことに4年経っても、ここから(腰)上の手の力、これはすごくあって、車いすじゃなくても大丈夫だからね。
手の力がなくなると杖もつけなくなるし、ズボンも上げられなくなるし、洋服も着られなくなるんですよ。
この間、病院の先生にも、「まだ手の力はあるね。やっぱり腰から下だけが弱ってきたねって感じで、まだ大丈夫ですよ」って言われたんですけど。
あと、呼吸の検査をした時に、「少しずつ衰えてくるけど、片肺で呼吸している人もいるからね、まだ大丈夫」とか言うんですけど。
まぁ、先生はベテランだから良く知っているんでしょうけどね。
でもね、ちょっとずつ悪くなっているよね。

 

:まぁね。

 

:この頃しゃべりにくくなってきているかなと思うけど、主人にそういうと怒るんですよ。

 

:でも、電話で話していても全然平気ですよ。

 

cimg8254:「だんだん呼吸とかはどうなるんですか?」って聞いたら、「いびきをかくようになるよ、夜。呼吸が苦しいから。でも、それだけしゃべれたら大丈夫です」って言われるんだけど、先がすごく不安だと思いますよ。
明日がどうなるかわからないっていうのが、いつもついてまわる。
でも、自分ができなくなることを確認しながらいかないといけない。
だから落ち込んでくる人もいるでしょうね。知っている人も、落ち込んでいる人いっぱいいるもんね。
私は比較的前向きだからね、結構元気なんですけど。
この間、ゆきのちゃん(お孫さん)と車いすで出かけた時、前に乗ってきたんですよ楽だから。
「おばあちゃん、楽だね〜二人で乗って」とか言って。
「ゆきのちゃん、足が丈夫で若いんだからどんどん歩きなさい」って言ったら、「おばあちゃんだって歩けるじゃない、乗ることないでしょ〜」とか言って。困っちゃった。

 

:でも、そういうのって、パワーもらえますよね。

 

:パワーはもらえるけど疲れるね。帰った後、二人でぐったりしちゃってね。(笑)

 

 

■快適な家で過ごすことが幸せなことだと思います、私は。

:打ち合わせしていた時のイメージと、実際に住まわれてから感じる違いってありますか?

 

:話してたり、ショールームで見ているときには、そんなに効果があるのかな?どうなのかな?と思いながら、手すりとかいろいろ付けたり、あるいはトイレも寝室の近くに。
2016-10-22-4それが実際、悪化すればするほど効果的ですね。いい意味でね。

 

:人の手を借りないで、自分で入ろうと思うね。

 

:これがちょっと条件が違えば、介護しなければおトイレに行けないとか、介護しなければお風呂に行けないとか。まだそれまで間が遠くなっているからね。

 

:この間も旅行から帰ってきて、「この家で良かったよね。お風呂も遠くないし、トイレが近くていいよね」って。
ホテルの部屋の段差のあるトイレに夜中行くのが大変で。
快適な家で過ごすことが、幸せなことだと思います、私は。

 

:人間、何が起きるかわからないけど、その過程で精一杯生きていくということが大事ですよね。
神様に与えられた人生なんだから。

 

■とにかくパ二クッていたから、ケアマネさんからの紹介が全てでした。

 

:当初は、どんな家が理想だたんですか?最初はリフォームを考えていたんですよね。

 

:あの家に居たいって言うのがあったんですよ。
玄関を直したり、段差がある所を直したりって言っていたんだよね。
だけどね、もう玄関でしくじっちゃったんだよね。
車庫を崩して、何メーターもスロープにしないと車いすでは行けないって言われて。
たまたまここに土地があったから、じゃあもうこっちへ建てちゃった方がいいんじゃないかって。

 

:スタートはリフォームがベース。

 

:もうお金の問題じゃなかったよね。できないっていうのがわかって。

 

:いや、できるんだけど、そこにお金をかけてリフォームしても満足なものができるかって。
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:じゃぁ、もう建てちゃった方がいいって。

 

:前職の関係の建設会社さんにご相談されたんですか?

 

:違うんです。介護保険の。

 

:ケアマネさんとか?

 

:そう、ケアマネさんから紹介されて、何だっけベッドとか貸したりする業者。福祉用具。そこの人。

 

:そこがやっているわけやじゃないから、そこがどこかに下請けに出すんでしょうけど。
その頃は、とにかくパニクッている状態だったから、ケアマネージャーさんから紹介されればそれが全てだったんでね。
それでいろいろ打合せしてたんだけど。
どうも自分が育ってきた環境からすると、建築のつくり方とか、自分がやらないにしても見たり聞いたりしているからなんとなくわかるじゃないですか。
すると、どうも話がいまいちツボを得ていない話をしているから、これは危ないな〜って。
内装の話が出ても、この段差をなくすためにはこうした方がいいとか、このドアを替えた方がいいとかいろいろ言ってくるんですけど、今までの経験からするとそれはないだろうっていう設計の提案なんかがあるわけですよ。

 

:そしたら、トイレの幅も狭いから変えなきゃいけないし・・・。
一ついじると全部いじらないといけないじゃないですか。
あそこじゃ、おトイレでは車いすで入れないもんね。
だんだん変わって来ちゃって、じゃぁ、あそこの土地に建てようって。
結局、病気が関係しました。そうでなかったら、ここには建てていなかったと思います。

 

 ■終わりに

午前中から始まったインタビューは大盛り上がり。

いつの間にかお昼もすぎて、奥様から「おいしいお寿司屋さんがあるから出前をとるわ」とのうれしいお言葉。

「この後打ち合わせがあるので」とお断りしましたが、結局 肉まきごちそうになってきました。

 

後日、お取り寄せいただいためずらしい柿もたくさんいただきました。

 

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いつもいつもありがとうございます。

 

M様邸は、その時の身体状況に合わせて福祉用具をプラスすることで

生活スタイルを変化させていくことが可能。

これからも住生活のサポートを全力で頑張りますのでよろしくお願いします。