【Kさまご一家】ご主人、奥さま、
※Kさま自作の ホームページ【脳出血から二度生還して‥】
【設計・デザイン】 白石 充 【営業担当】 白石 充
【所在地】 埼玉県大利根町
【完成引き渡し年月日】平成15年10月
【インタビュアー】白石
ご主人=主、奥さま=奥 インタビュアー 白石=白
■家づくりを始めるきっかけを教えてください。
奥:まだ車いすになる前に1回倒れたんです。その時はちょっと左足を引きずるくらいで、
右手右足は大丈夫だったんですよ。だけど、復職して会議に出たら、コーヒーと
ショートケーキが出たんですって。右手は大丈夫だけど、左手で持つのが出来なくて、
ゆっくりやっても食べられなかったから、コーヒーだけ飲んで帰ったんだって(笑)
白:やっぱり仕事場で倒れたんですか?
奥:1回目は仕事場で、2回目は家で倒れました。
白:急に仕事中に倒れたんですか?
奥:そうですね。43歳の時です。
白:43歳の時っていうと、だいぶ前ですよね。
奥:もう30年くらい前になりますね、今73歳ですから。
白:その時はもうびっくりされましたよね。
奥:最初でしたからね~
白:それで倒れてからすぐ入院されたんですか?
奥:1回目の時はまだ意識があった状態で、ただ左が利かないっていう感じだったんです。
だから割とよかったんです。
半年くらいしてから復職したんですけど、それから9年後くらい経った、52歳の時ですね。
2回目の脳出血でね。
白:その手前ではだいぶ体もよくなってたんですか?
奥:そうですね。
ゴルフにも行ったりするくらいまでには回復してね。スコアは全然だめだったみたいだけど(笑)。
その頃、有楽町まで通ってたんですよ。上野からだと乗り換えも大変だし、混んでるから、
大宮で乗り換えてね。傘と兼用になる仕込み杖を持って通勤してました。
最初は私がついていったんですけど、杖なしでも通えるようになったんですよ。
杖なしだとちょっと危なっかしいですけどね。すっかり自信も戻ってたんですね。
白:そうですよね。ゴルフに行こうって思うくらいですからね。
奥:そうそう。スコアが全然だめだったみたいで、二度と行かなかったですけど(笑)
白:それで、52歳の時ですか?
奥:この時は家で倒れちゃったんです。
4月に異動したばっかりで、引き継ぎとかで色々忙しかったんですね。
元々帰りは遅かったんですけど、毎晩終電で帰ってきてたんです。
倒れた時も11時くらいに帰ってきて、お風呂に入って、ビールを一口飲んで寝たんですよ。
それで、寝た時に自分でわかったのか「何かおかしいぞ」って言ったんですよ。
次の瞬間にはもう隣でいびきかいてたの。ガーガーって。
「どうしたの?」って聞いたら、「ん?あ?」って言うには言うんだけど、分かってないみたいで。
それですぐに「救急車呼ぶよ!」って言って救急車を呼びました。
「救急車に乗ったのも分かんない」って言ってましたね。
脳卒中関係の病気ってだんだん重くなるんですね。
白:脳卒中ってゆっくり血管が切れるんですか?
奥:いや、プツンじゃないですか?やっぱり。
白:疲れてたのもあるんでしょうけど、それでお風呂入ってビール飲んで‥
奥:ああ、じわじわと?
白:そういうわけではないんですかね?
奥:いや、お風呂もちゃんと自分1人で入って、自分で出てきてね。
それで、ご飯食べて、それから寝てるから‥。
じわじわだと、手が痺れるとか、口が回んないとかだと思うんですけど、そういうのは全然なかったんですよね。
白:他のお客さんで同じように倒れられた方がいて。
一緒にご飯食べてる時に、すぐ寝ちゃってイビキかきはじめたって言っていたので、同じかと思ったんです。
でも、本当にすぐなんですね。その方も、びっくりするくらいイビキをかき始めるって言ってました。
奥:そうそう、私も初めてだったのでびっくりしちゃったんですよね~
白:その方もそうだって言ってましたね。だからおかしいって。
主:自分ではね、意識がなくなっちゃってた。
白:だから全然覚えてないんですね。
奥:うんうん。プチンと音がするのかと思ったらそうでもないみたい。
突然急降下するみたいな、ストンって落ちる感じなのかなって思うんですよね。
白:そしてまた入院ですよね?
奥:うん、また入院。結構長かったですよ。2回目は丸1年くらい都内の病院に入院してましたね。
白:リハビリとかも兼ねてたんですか?
奥:リハビリはまた別でね、リハビリ専門の病院に移って3ヶ月くらい入ってました。
白:ここで倒れて、すぐ都内に行ったんですか?
奥:最初は近くの病院に入ったんですよ。
だけど、あそこは脳外科の先生が週に何回かしか来ないので、職場に私が連絡したら、
「すぐこっちに連れてこい」ということで、3~4日目くらいで移送したんです。
白:そのあと大変な中で、自宅に戻るまで1年か2年くらいかかったんですね。
奥:そうですね。
自宅でまた休職して、54歳くらいで復職したんですけど、家から全然通えないんですよ。
病院にいる時から車いすになっちゃったから。でも自分では、また歩けると思ってたみたい。
一生懸命リハビリ病院に通って、杖で歩いたりしてたんですけど、無理なんでしょうね。
なので、車いすで復職したんですけど、もう家からは通えないので、職場から200m~300mの所に
マンション借りたんです。そこに娘が一緒に住んでくれて、朝晩送り迎えしてもらったんです。
白:娘さんはおいくつだったんですか?
奥:長女が大学卒業したくらいですね。長女も勤め始めたんだけど、朝晩は送り迎えしてくれて、
ご飯作ったりしてくれて。初めは長女が世話してくれたんですが、結婚することになったんです。
その時次女がちょうど学校卒業したので、交代して次女が面倒見てくれました。
今度は次女も結婚する話になったので、今度は長女が、同じ建物のワンフロアーの3LDKを借りたんですよ。
白:Kさんが住んでたところの?
奥:上。ちょうど空いたんですよ。一番最初に入った時は、2Kくらいの部屋に入ってたんですけど、
結婚してた長女が、「私たちが一緒に住む」って言ってくれて、探したらたまたま上の3LDKくらいの
部屋が空いてたんです。それで、5階から10階くらいに移ったんですよ。
そこに2年くらい長女達と一緒にいたんですが、一番下が学校卒業して勤め始めるんで、
「もう辞めた方がいいよ」と、復職してから4年半くらいで辞めました。58歳の時にね。
だからもう辞めてから15年くらい経つのかな。
白:それで帰ってこられて、
お住まいのことを考えたんですか?
奥:住まいが古い家だったんですよ。
なので、段差があるので、リフォームできる会社を
ネットで見てたんです。そしたらたまたまね、
白石工務店さんが引っかかったんですよ(笑)
白:釣られた(笑)
人に聞いたとかではなく、たまたまだったんですか?
奥:ホームウェルにはいっててから、ヒットしたんですよ。
近いところだと、白石工務店って出たんです。
他にも大工さんって結構いらっしゃるけど、
その頃ホームページとかは今みたいになかったんです。
たまたま主人が、パソコンを始めてたんですよ。
主:Windows95。
奥:Windows95だっけ。それまではパソコンでも色々大変でしょう。
今みたいに簡単に素人が出来るものじゃなくて。
白:そうですよね。
奥:それがWindows95になったら簡単にできるって、リハビリ病院で見たらしいんですよ。
Windows95なら簡単に素人でも出来るよっていうのを教えてもらって、それで自分で始めたんですよね。
主:Windowsのパソコンを自分で買った。
白:ちょうど20年くらい前?
奥:そう、20年くらい前ですね。それで独学でホームページを立ち上げたんです。暇になったから(笑)
私はよくわからなかったから、電器屋さんでパソコンを買って一番最初はセッティングしてもらったんだよね~。
主人は元々パソコンに興味があったんです。昔はパソコンじゃなくて、ワープロで通信するのがあったでしょ?
主:ワープロ通信。
奥:そう。ワープロ通信っていうのがあったんですよ。今でいうLINEみたいなもんじゃない?
白:手軽にできるような?でも当時は手軽じゃないか(笑)。
奥:手軽でもないですよ。電話回線で、立ち上げるやつだもんね。
白:結構大がかりですね。
主:ボタンが同時に押せなくて立ち上がらないから妻が帰ってくるまで待ってね。
白:手の甲っていうのは右だけは大丈夫だったんですか。
奥:右はね、一回目はよかったですね。
白:でも徐々によくなっていったりしたんですか?
奥:だいぶ良くなりました。右は本当に利かなかったですよ。
一番最初は左にきちゃったでしょ、二回目倒れた時は右にきちゃったんですよ。
それが重かったんですね。車いすに乗っちゃうくらいだったから。
主:でも倒れて運ばれるとき、右の利きを左に変えようって。
奥:そう。「右手が全然もう動かないから、利き手を左手に変えましょう」ってくらいだったんですよね~。
「右はもうないものと思ってください」というようだったんだけど、でも結果的には右のほうが
機能戻ってきましたね。左は戻らないですね。
白:それはわからないものなんですね。
奥:予想がつかないんです。お医者さんもそう言ってましたから。
「もう右はあれなんで左手に利き手交換した方がいいですよ」って話だったんですけど、
パン持って食べてたもんね(笑)。
主:食い意地だね。
奥:食い意地(笑)
ロールパンをね、私が持ってたロールパンをつまんで、食べてましたよ。
白:つまむこともできなかったんですか?
奥:もう全然力も入んないし、だめだったんですよ。
白:パソコンはどうやって使ってたんです?
奥:指を使ってるうちに回復しました。
リハビリにも色んな方法があるけど、続けることが大事だと思いますね~。
だから諦めて、「もうだめですよ」って使わなければそのままだと思うんですよね。
でも「どうしても食べたい!」とかだと(笑)
白:そういう強い意志が大事だったりするんでしょうね。
奥:そうですね~。
白:お家に戻って生活をするようになって、リハビリを頑張ったり、大変な部分が当然あった中で、
リフォームを考えていかれたんですか?
奥:そうですね。向こうの古い方のお家を‥。
主:介護保険も始まったんだ。
奥:うん、ちょうどその頃、介護保険も始まって、補助も受けられるようになったんです。
主:20万円以内で。
奥:そうね、20万円くらいなら見てくれたので、トイレの手すりや、段差のスロープをつけてもらったんです。
2年くらい、古い方の家にいたんですけど、日中は一人でいるものですから、不便だという話になったんです。
主:一人でここにいて、昼と夜の食事をホームヘルパーさんにやってもらって。
奥:そうして私も東京の方まで行ってたんですよ。
主:おばあちゃんのところに行っていてね。
奥:私のおばあちゃんも介護が必要だったんです。
白:そうだったんですか。
奥:主人は言葉もね、今よりもはっきりしてたと思うんですよ。
主:喋るのは普通に喋れた。
奥:普通に喋れたもんね。今はちょっとね、もたついちゃって。電話も前は自分で出られたんですよ。
本人が疲れちゃって今は出ないです。
2年くらい前にまた、軽い脳梗塞をやったんですよ。それでまた喋るのが不自由になったんです。
主:よだれが止まらなくて‥。
奥:生活の質が下がっちゃったんですよね。介護2だったのが今4になっちゃった。
介護4って相当重たいんですよね。
前はトイレも一人で行って、自分で始末出来たんで、一人でも置いていけたんですけど、
今は、トイレも一緒についてかないと危なくて出来ないんですよね。
それで2年くらいそういうふうにやってたんですけど、「やっぱりこれじゃだめだ」って本人が言い始めて、
「家の中も自由に歩けるような家にしたい」って、白石さんにお願いしたんですよ。
■どんな家づくりが理想だったんですか?
白:初めて会った時の事とか覚えていますか?
奥:最初は、弟さんの串田さんがリフォームをやってる
ので来てくださっていて、
「『平らな方がいいんだけどな』って主人が
言ってるんですよ」って言ったら、
「兄がやってるので」って、社長さんを紹介してもらって
それからお付き合いが始まったんですよね。
白:当初の一番の目的は家の中を自由に歩き回りたいってことでしたよね。
奥:そうですね。
白:前の家の時にお母さんってまだいらっしゃったんですか?
奥:施設に入院してたの。骨折しちゃって歩けなくなっちゃって。
白:ウチが工事させてもらってる時はもういらっしゃらなかった?
奥:もういないと思いますね。
白:そうか。Kさんいつも一人だったって印象があったんで。
奥:そうそう、病院にいたから。
白:じゃあ大変でしたね。
主:相当大変だったよな。
奥:私? 大変だったのよ(笑)
白:家を作る上で、「平らにして自由に歩き回れるように」という以外に理想はありました?
何か相談していくうえでこういうのがいいなあとか。
奥:どうでしたかね(笑)なにか相談しましたか?
白:自分が覚えてるのは、Kさんがいつも一人でいらっしゃってて、
「玄関に宅急便とか来ても出ていけないのをどうにかしたいんだ」って言ってましたよね~
奥:そうそう。
白:ずっと1日パソコンで自分のホームページ作ったりとかしてるから、明るい方がいいとか、
暖炉をつけたのもKさんがあんまり外に出れなくなって、自然を感じられないから火を見ていたい
とかはありましたよね。
奥:この病気は寒いのが苦手なんですよね。冬は温かくて、夏は涼しいのがいいとか‥。
白:温度差がないっていうのがね。
奥:そう。あと、ずっと家の中にいるので日当たりが良いのが良いとか言って。
白:それでKさんの書斎を中心に、羽を広げたような「くの字型」にしたんですよね。
奥:「一日中、陽が当たるのがいいよね」って言って、あとはお任せでしたよね。
白:5センチって結構高いんですよね。電動の車いすだとこれくらいは上がれちゃうんですかね?
奥:自分で?上がれるんじゃない?後ろにストッパーみたいなのがついてるから。
ひっくり返ることはないと思うんですけど。
主:でも、誰か後ろについてないとダメ。
奥:もしなんかあった時に危ないからね。
白:最近施工した家もフラットにしたんですけど、やっぱり玄関にホコリが入るので、
少し段差があった方がいいって言われるんですよね。
白:ストレッチャーを確保してる方もいらっしゃるんですよ。どこまで萎縮してくかわからないので。
ただ、早い時期に気付いて、薬を飲んでるので、進行が遅れてるのがあるんですけど、
ここ一年間くらい打ち合わせをしていく中で、疲れが早くなってるんですよね。
だから、寝たような状態でも入れるような寸法にしてくれとか。結論としてはフラットにしたんですけどね。
段差がない方がいいだろうなって思って。
だから、二年前の脳梗塞がなかったらパラリンピックに出る予定だったんですよね。わがままだから(笑)。
Kさんが外出たいって言ったら奥さんが敷石を自分でひいてあげようとしたんだよね(笑)。
奥:亭主関白。私がね、結局敷けなくて腰の骨折ったんです(笑)6枚くらい自分で運んだんですよ。
そしたらね、腰の骨がね、ゴリッていって立てなくなっちゃって(笑)ずいぶん無謀な事をしちゃったの。
白:タイミングタイミングで工事をお願いしていただけましたよね。
奥:そうなんですよ。ずいぶんお願いしましたよ。色んな事を。
白:これでスッと出れるようになりましたよね。
奥:でもね、暑くちゃだめだの、寒くちゃだめだのとか言って(笑)
雨降っちゃだめだの、風吹いちゃだめだのとか、なかなか有効活用が出来てないんですよね~(笑)
主:なんかそういうやってもらうという欲求がないとだめだね(笑)
白:そうですね。でも応える方は大変ですよ(笑)。
奥:白石さんに頼んで、スロープでずっと出れるようになっているので、そこから出て、玄関行けるのでね。
そうじゃないと、古いお家の中を通ってぐねぐね行かなきゃ行けないですから。
向こうのウッドデッキは古いお家から表に出る時のために作ったんですよ。
白:あれを最初にやらせてもらったんですよね。
奥:そうそう。ウッドデッキ。玄関の開かりまちが
あるので、そこにスロープが狭くてできないんですね。
表方にスロープで上がって、ウッドデッキみたいにして、
廊下の突当りから出られるようにしたんです。
前住んでた時はあそこから出入りしてましたね。
ずいぶん活用しました。
■白石工務店と長年お付き合いをしていただけている理由を教えてください
白:最初の出会いからトントン拍子に関わりがあるじゃないですか。
意地悪な言い方をすると、別に他社に相談相手を変えることも出来たと思うんです。
でも、お付き合いしていただいてる理由をお聞きしたいです。
主:そりゃあ失敗だった(笑)。
奥:失敗だった?いやいやいや(笑)。
奥:「かかりつけ医」のような信頼関係だと思うんですよ。
安いからってコロコロ変えるのもありなのかもしれないけど、「安かろう悪かろう」じゃ嫌ですよね。
お医者さんを信頼すると色んなことを相談出来るじゃないですか。
工務店でも長くお付き合いしていると、ちょっと困った時に相談できると思うんです。
建てて十何年も経っているので、例えば、水が流れない時に、相談すると手配してくれたりしますよね。
「そんなの自分で水道屋さんを探して頼めばいいんじゃないか」って思うかもしれないんですけど、
私はそういうところがいいと思うんですよね。
この前も、古い浄化槽を替えるときに、白石さんにお願いしましたけど、浄化槽屋さんに直接頼むってことも
たぶん出来ると思うんですよ。けど、業者さんでも工務店さんの方から回ってきた仕事には、
変な工事をする業者さんはいないと思うんですよね。
安くできますよって所はちょっとどんな工事されるのかわかんなくて不安ですから‥。
例えば、一日中家にいるとか出入りが出来たりとか日当たりが良いのがいいとか、段差がないとか、
温かいのがいいとか、色々注文出すわけですけど、それに沿うように色々考えてくれてたんです。
それもきっと信頼関係ですよね~。
白:困ったらとりあえずその人に頼んで聞いてみりゃいいっていうのがあるじゃないですか。
そういう関係がいいなあって思うんですよ。それは仕事じゃなくても。
よくお客さんに話すんだけど、こういう仕事をしてるから、色んな方とお付き合いあるんです。
例えば税理士さんとか弁護士さんとか。弁護士さんもどういう仕事してるかよく分んないですけど(笑)
一応名刺渡されると弁護士さんとか書いてあるからだけど、でもそういう方に困ったら聞くとかっていうのを、
俺はわかんないけどお客さんにいるからご紹介しましょうかっていうのは、職人さんも同じじゃないですか。
今回の浄化槽も新井さん(水道屋さん)が真面目にやってくれるから信頼してくれると思うんです。
給湯器壊れたら普通だったらガス屋さんに電話するところをやっぱり工務店にお話を頂けるっていうのは
嬉しいし、そこからすぐに連絡するのは重要だろうなって思います。
■家づくりを進める上でトラブルは?
白:Kさんには色々ご迷惑おかけしてるんですよね、床下から水が出てきたこととか(苦笑)
主:ひどかったね。
奥:出入りできなくなっちゃったんですよね。
主:寛容、寛容。
白:そこはもう本当にKさんのお心一つ(笑)。
奥:私は「なんだこりゃ!」と思いましたよ。本当。
白:お風呂から水漏れしてしまったんですよね。
奥:きっと、接着剤がちょっとずれてたのね。
白:結局はそれだけだったんですけどね。
奥:掘り返したり、色々大変だったでしょ。工務店さんの方も。建てて一年経ったくらいの時でしたよね。
白:実は、最初からだったんだよね。
奥:途中で漏れたわけじゃないんだ(笑)最初から漏れてたのね。
白:溜まって、溜まって、出てきちゃった。
奥:ジャーって出ればわかるんでしょうけど、本当にちょろちょろくらいで垂れてたのよね。
白:使う方の水じゃないからね。メーターが回るわけでもないし、
主:普通だったら大変だよね。
白:でもそれでもお付き合いしていただけてるんですよね。
奥:そうなのよ。なんなんでしょうね(笑)。やっぱり、一期一会で長くお付き合いしないと分らない、
その一つの失敗だけを突いてもしょうがないじゃないですか。
白:逆にそういう意味では裏切れないですよね。自分が反対の立場でも、心ない人だと
お付き合いしようと思わないだろうし。ありがたいです。
奥:ここの家を建てたのは白石工務店さんだから、何かあったら白石工務店の責任だよって感じですね。
この家がうまく建っていけるかどうかも、住んでいる私たちと、運命共同体だと思うんです。
白:それはそうですよね。
奥:私達の性格かもしれないんだけど、人でもなんでも
すごく長い付き合いなんですよ。
職場でも辞めた後でも長く付き合ってる人もいるし、
それ以外で知り合った人でもすごく長くてね。
この人最初どういう付き合いだったんだっけってなる
くらい(笑)ずっと年賀状のやり取りをしてね。
この人誰?職場の人じゃないよね?っていう人でも
すごく長く付き合うんですよ。
入院していた時に一緒だった人が退院して新潟や石川の田舎に帰ってもずーっと手紙のやり取りは
してたりとか、ワープロ通信で知り合った人もずっと付き合ってるし、とにかく長いんですよ。
自分から切るっていうことはないですね。だから白石さんとも自分からは切らないと思いますよ(笑)。
■普段暮らす中で、住み心地や気に入っていることを教えてください。
白:水漏れのトラブルもありましたけど、普段暮らしていく中では住みやすいですか?
奥:住みやすいんじゃないですかね。
白:特にここが良かったってあります?
奥:家の中は割と一定で温度差がないですよね。スーパーウォール工法っていうの?
白:高気密高断熱って言われてますね。
奥:もちろん結露もしないし、冬でも、北側でも寒くないし、狭い空間なんですけど、冬は暖炉焚いて、
みんな家開けっ放しにしてるんですけど、それでも温かい。薪くべるのは私。(笑)
主:一日中日も当たるし。
白:二人で住む家だと、そんな大きい家なんか
いらないし、ましてやKさんは車いすだから、
座る所も作る必要がなかったりするじゃないですか。
そこら辺を歩くと温度差がないことが重要だから。
奥:だから夏はエアコン二台つけると寒すぎちゃう
くらいになるんですよ。
白:それで事足りますか?
奥:事足りちゃうんですよね。一台で。
白:俺がKさんの時に思ったのって、途中を見てもらえないっていうもどかしさなんですよ。
高さを判断するとか。今病院にいらっしゃる方の家を直すのはプレッシャーだなって思いながら
工事をしてます。帰ってきて、車いすからトイレに移動出来たっていうのを聞くとほっとしますね。
本当に大丈夫かなとか。
奥:これからの時代はバリアフリーとかを考えて作るんでしょうけど、今までの家っていうのは、
そういう考え方がないからね。
■白石工務店と合いそうなお客さんは?
奥:どんな人が合うかな?
主:気の長い人。
奥:気の長い人?(笑)
白:俺もそうかな(笑)
奥:せっかちな人は合わないかもしれないね。焦っちゃダメだね(笑)。
家を建てるにしても、建て主として自分で「こういうのにしたい」って持ってる人は合うと思いますよ。
その中で色々相談するような人が合ってると思います。
主:こだわりを持ちすぎてもだめ。
奥:そう。こだわりって、持ちすぎてもだめなんだろうね~。
主:芯を持ってる人だな。
奥:こういうような家にしたいっていうのを持ってる人だったらいいもしれない。任せられる人がいいんでしょうね。
信頼関係を築けるかどうかだと思いますけどね。私なんか合わなかったかもよ、せっかちだから。
私だけだったら合わなかったかもしれない。
白:ご主人が気が長いんですか?
奥:どっちかっていうとそうかもしれない。私はせっかちだから。「石畳はこれで!」って感じなんだけど(笑)。
白:性格が違うからうまくいくんですかね。
主:白石さんところは?
白:せっかちっていうよりは、俺一応A型なんですけど、AO なんで、9割くらいOですね。
真由美はAAのAだから几帳面です。だから任せられるんですけど(笑)
奥:私はO なんですけどね~。超おおざっぱ。
白:その辺の相性みたいな所もあるんでしょうね。
■これから住まいづくりを考える方へのアドバイスをお願いします。
主:色々見た方がいい。ウチにも結構見に来てるね。
白:住んでる方の家を見に来る時って、Kさんの家を見せてもらって、家のことよりも、
やっぱりあんなふうにお二人仲良く、生活されてるのを見れたのが良かったのかな。
そんな話はちゃんとしてないんですけど。
昨日、洗面台化粧台壊れたって連絡があったので真由美に行ってもらったんです。
そうしたら見事にボウルに穴が開いてたんで、やっぱりKさんが使われているような車いす用の洗面台を
ご提案したら、「Kさんのとこと同じ?」って言われたって聞いて。
Kさんの家を見て暖炉もつけられてるんで、住んでる方の声は大きいと思いますね。
奥:やっぱり「ウチではこういうのやりました!」っていうのがあると信頼できるんだと思いますね。
今はみんなバリアフリーって言ってて、段差解消とか手すりを付けるとか色々あるけど、
実際にそういうのを作りましたよっていうのがあれば安心できますよね。
白:Kさんみたいに車いすの方をお連れするときに、みなさんやっぱり介助する方が、
いきなり病気になられたりすると、「どうしたらいいんだろう」ってすごく不安になるじゃないですか。
Kさんからしたら、大変なこともあると思うんですけど、でも「そんなに大げさなことはしなくていいんですよ」って
いうことが分かると少しは楽になるんだろうなあって思うんですよね。
車いすの生活ってリフトをいっぱいつけなきゃいけないんじゃないかとか、何から何までしなくちゃ
いけないんじゃないかって思われるかもしれないんですけど、
結局は家に入れることと、トイレに行ければどうにかなるんですよね。
お風呂はだめだったらヘルパーさんに来てもらうことも出来るし、最低限これだけどうにかすれば
なんとかなるんですよって教えたいんですよね。
そのためにKさん家の時はちょっと無理を言って屋根をつけて雨に濡れないようにしたりとか、
今やっている方は玄関のサッシとちょうど接するような、すごく大きいカーポートをつけるんですけど、
そうすると、濡れないで外に出れるので、そういうところでお金をかけさせて下さいって言うんです。
あとで直していける所は徐々に直していけばいいと思いますから。
でもそういう事を分かってもらうには、言葉だけより、実際にKさんの家とかに来てもらったほうがいいと
思うんです。
奥:何度か来てもらいましたよね。
白:だからすごい仰々しいことをしなくていいんだとか、そういうものを売る方って
リフトいっぱいつけましょうとか言って、ケアマネさんがそういう人を連れてきちゃうと、
すごいことになっちゃうんです。特定疾患だと借りられちゃうんで、まずベッドを借りちゃったし、
夜すぐトイレ行けないと大変だろうからっていう話がちょっと出たら、ポータブルトイレを大きいやつを買って
結局一回も使ってなくて。そういうのは違うのかなって。
真由美も「ポータブルトイレは誰かが片すものなので、本当に最後の最後に、使う方が意思があるときだと、
『これを誰かが片してくれる』っていうことで気持ちよく使えないなら使わない方がいいとか、
匂いが気になることがあるから、基本的にはトイレに行くべきですよ」って言ってて。
だからKさんの家みたいにすぐ行けるようにさせてもらったんです。
そういうのって実際に住まわれてる方の家を見るとわかると思うんですよ。
奥:手すりも最初につけてあるんですけど、
使ってるうちに、やっぱりここにもあった方がいいって
いうのが形になってつけてるんですよ。
最初はあればいいねっていう所につける形に
なっちゃうと思うんですよね。
だけど、実際に生活する中で、障がいの度合いも、
使う高さも変わってきますよね。
必要に感じた時点で、つけていくものだと思います。
奥:完成形を作りすぎると全然使わないことも出てきますよね。ポータブルトイレじゃないですけど。
白:Kさんの家をつくる時、ここまでしっかりとやったことなかったから、どこまでやったらいいか
すごく不安でしたね。でも、Kさんが言ったように、症状って変わってくるじゃないですか。
良くなってくるかもしれないし、悪くなってくるかもしれない。
なので、やっぱりやり過ぎるのは良くないかなと思うんですよね。
奥:そうですよね。
白:「これもやっておいた方がいい」ことは後でやるのが良かったりするので。
奥:そうそう。そうだと思いますね。
白:そうすると、本当に普通の家を作った方が良くなるんです。
車いすだからちょっとお風呂広くした方がいいとかトイレちょっとだけ広くした方がいいとか。
あまり極端なことをやろうとすると、もちろんお金がかかっちゃうし、やることはないかなって思いますね。
奥:最初から、完成形じゃなくても、基本的なバリアがないような、フラットなもの作っておけば、
手すりとかは後でやればいいって思いますよね。
白:そういうのってKさんの家をやらせてもらってから、自信がついてきたんですよ。
「そこまでやることないんだ」っていうことが分からないと、不安だから逆にやっとけって話になってしまって、
それに対してお客さんもすごく悩む話になっちゃうけど、実際は使わなくなってしまうだろうなって。
奥:「ここじゃなくてこっちがよかったのよね」ってところが出てきちゃうと思いますよねー。
そもそもフラットにするのは今までやったことないんですよね。
白:Kさんの家を建てたときに勉強して、九州の方が見に来たこともあったじゃないですか。
あの時も合ってるのか間違ってるのか見てもらおうと思って。
本で読んでる事が正解かどうかはわからないので。
白:Kさんは壁の向こうの古い方の家にいつもいらっしゃったんだけど、
施工中はこっちに来れないから見ることが出来なかったもんね。
奥:そうなんですよ。
白:つらいよなぁ(笑)
奥:図面だけ見てこうなるのかって感じだったもんね。
白:奥様がいっぱい写真を撮ってくださって見てもらってるので、打合せは出来るんだけど、
実際に現場を確認してもらうことは出来ないから、不安でした。
でもそれはKさん家が最初のバリアフリーの家だからとかじゃなくて、
今でも入院してる人が家に帰ってくるための家を建てるのはすごい不安ですね~。
本当に風呂に入れたとか、家に入れたとか言われるとほっとするな~。
誰だかわからない人にやられて、やっぱりだめだったとかで終わるんだったら、
ちょっと緊張しながらでも自分でやった方がいいですね。
白:病気になったら何していいか分かんない気持ちってあるじゃないですか。
その病気の事でいっぱいいっぱいなのに、3ヶ月後には退院してくださいってなったら、
本当に困るんだろうなあって思うのと、もうちょっとゆっくり病院にいられたらなあと思うんですよね。
心の整理がつかないと思うんですよね。
だからそういう意味では真由美とかがちゃんとフォロー出来るのは大きいと思いますね。
自分だと話せないこともあるんだろうし。Kさんは役所でお勤めだったから大丈夫なんでしょうけど、
申請の仕方や介護保険がよく分からない人には、それを使っていただくのも一つの提案かもしれませんね。
奥:こういう補助も使えますよっていうのは大事なんじゃないですかね~。
いくらかでも補助をいただけば、気分的にやってみようかな、やろうかなっていう気にはなりますよね。
介護って必要に迫られてやるじゃないですか。自分の趣味でやるわけじゃないから。
だから少しでも助けてくれる制度があるっていうのを教えてもらうのはいいかもしれないですね。